匠 - 経験に裏打ちされた独創

Interview 2 匠の素顔

西日本支店・責任者
清水 徳男 Shimizu Norio

仲間たちと技術を磨き合える、
そんな環境がほしいんですけどね。

 フジオート本社工場では、各種装置の取り付け作業とそれに必要な機械の操作を基礎から学び、それらをひと通りマスターしてから型取り、製造へと技術領域を広げていった。多忙な先輩技術者から手とり足とり教わることはできない。先輩たちの作業を見ながら要領を覚え、厳しいチェックを受けることで判断基準を身につけていった。
「形も仕様もお客様や車種によって異なる自操式運転補助装置には、マニュアルがありません。だから、技術スタッフによって製作の手法はさまざまで、現場ではたくさんのノウハウが生まれてきます」
清水は貪欲なまでに技術の向上を求め、フジオートのすべての装置ごとに自分なりのノウハウを編み出していった。入社からわずか5年で新規拠点を一任されたのも、その探求心と総合的な技術力を期待されてのことだ。
「私が関西出身なので『故郷に帰してやろう』という藤森会長の心づかいもあったと思います。でも、装置づくりには自信があっても、経営や営業はまったくの素人です。目の前の課題をクリアするのに必死で、最初の1〜2年間は自分が何をしていたのか覚えていないくらいです」

イメージ  西日本支店は、清水と事務スタッフのふたりで切り盛りされている。拠点を経営しながら、技術スタッフとして全案件の型取り・製作をひとりでカバーする清水は、その多忙さ以上に歯がゆく感じることがあるという。
「ひとりでものづくりをしていると、技術の向上の面で不安になることがあります。本社工場に行くたびに、スタッフの技術力の高さに感心し、一緒に働くことで技術を磨き合いたいと思うんです。また、工場の設備の面でも、新しい加工機械を増設したい。やはり私は、現場でものづくりをするのが好きなんですよね」

テクノロジーの進歩によって、自動車は日進月歩の勢いで進化している。しかし、自動車メーカーがこだわる走行性能や安全性、居住性は健常者を想定しているため、さまざまな自操式運転補助装置を必要とするドライバーが少なくないことは忘れられがちだ。また、モデルチェンジによって車内のデザインが一新し、運転補助装置の取り付けスペースやパーツがなくなっていることは珍しくない。さらに国産車と外車とでは設計思想が違うため、ネジの数、配線の位置、電子部品の数などがまるで異なるのが実情だ。
「そうした制約のなかで、いかにして自操式運転補助装置を組み込むか。技術者としては悩みどころであり、やり甲斐でもありますね。自分のアイデアで新しい装置が実現し、その装置を組み込んだ車が全国で走るのは技術者の喜びですし、技術者のプライドとして『できない』とは言いたくありません」
 お客様には運転したい車に乗ってほしい。好きな車の運転を感性的にも楽しんでほしい。自分が車好きだから、なおさらお客様の夢をかなえたいと清水は語る。
「装置の精度にもこだわります。アクセルとブレーキの操作を片手で行う手動運転装置は、ブレーキの調整は容易なんです。でも、運転中にいちばん使うアクセルの調整は難しいんですよ。だから、アクセルの"引き心地"がバシッと決まったときは、達成感を感じますね。お客様以上にうれしく感じているかもしれません」

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Interview 1 匠の素顔

本社・技術スタッフ
水口 敦夫 Mizuguchi Atsuo

私は失敗の多い人間ですが、技術者にとって失敗は財産です。

Interview 3 匠の素顔 NEW

本社・技術スタッフ
生田 弘幸 Ikuta Hiroyuki

僕は自分自身をまだまだ発展途上の技術者だと思っています。

Interview 4 匠の素顔 NEW

本社・技術スタッフ
幡野 力 Hatano Chikara

私たち技術者はみんな、お客様によって育てていただいているんですよ。