匠 - 経験に裏打ちされた独創

Interview 1 匠の素顔

本社・技術スタッフ
水口 敦夫 Mizuguchi Atsuo

今は気づいていないだけで、
解決策はきっとあるはずなんです。

 フジオートのお客様は言うまでもなく、全員が身体のハンディキャップを持っている。自動車を運転できるとは思えないほどの重度障害者の方も少なくない。
「みなさん、すごい人たちですよ。凄まじいほどに、すごい人たちです」
水口が担当する手型旋回装置は、手の握力がないドライバーのハンドル操作などをアシストするため、手型をもとに製作した固定ベルト付きグリップを装着する。
「樹脂で手の型を取るとき、お客様の手に直にふれるのですが、最初は『この力のない手で運転するのか』と驚き、気の毒に感じました。でも、私が製作した手型旋回装置で当たり前のように車を運転するお客様を目の当たりにしたとき、『この人を気の毒だなんて、俺はなんて軽率で傲慢な人間だったんだろう』と思いました。『あの力のない手でこんなに力強く運転するなんて、すごい人だ。凄まじいほどに、すごい人じゃないか』と思ったんです」

イメージ  軽率な言動は、自分の悪い癖なのだと水口は苦笑する。
「まだ、ひよっこだった頃、先代の社長から『アルミブロックを削り出して、誰にとっても使い勝手の良いレバーをつくれないか』と言われ、軽率にも『そんなの簡単ですよ』と言い切ったんです」

 しかし、簡単ではなかった。1ヶ月が経ち、2ヶ月が経ち、3ヶ月が過ぎたとき、水口はついに降参した。
「ベテランの先輩たちが真剣に取り組んでも納得のいくものができなかったのに、私が簡単につくれるわけがなかったんです」

 今は亡き先代社長は、思い上がっている自分に挫折を体験させることで、技術者としての心構えを教えようとしたのではないかと水口は語る。
「驕っていては、良いものなんてつくれません。ものづくりは、そんなものではないんです。でも、難しいから、なおさら挑戦したくなる。今は気づいていないだけで、問題や課題の解決策はきっとあるはずだから」

 現在、水口が挑んでいるのは、左ウインカーレバーの反動で瞬間的に発生し得るウインカー点滅の解消と、右手でインパネシフトを操作できるようにアシストする装置の開発だ。ウインカー点滅は、お客様から問題視されたわけではない。しかし、改善すべき点があることに気づいたからには、製作者として解決せずにはいられない。そして、右インパネシフト補助装置は、いまだどのメーカーも実現していない自操式運転補助装置の未知領域だ。
「既存技術の組み合わせで実現できるのか、まったく新しい発想からの創造が必要なのか、答えはまだ出せていません。でも、お客様が求める以上、絶対に実現したいですね」

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Interview 2 匠の素顔

西日本支店・責任者
清水 徳男 Shimizu Norio

常に"技術者"であり続けること。それが私のこだわりなんです。

Interview 3 匠の素顔 NEW

本社・技術スタッフ
生田 弘幸 Ikuta Hiroyuki

僕は自分自身をまだまだ発展途上の技術者だと思っています。

Interview 4 匠の素顔 NEW

本社・技術スタッフ
幡野 力 Hatano Chikara

私たち技術者はみんな、お客様によって育てていただいているんですよ。